こんにちは、現役美容師のKAZUです。
ハサミを握り続けて20年以上、これまで数え切れないほどのお客様の髪を診てきました。30代を過ぎるとチラホラ気になり出し、40代、50代になると毎日のように頭を抱えさせるのが……そう、「白髪」の悩みですよね。
「美容室に毎月行くのはお金も時間もかかる」
「自宅で手軽に、お風呂のついでに染められたら最高なのに」
そんなあなたの隙間に入り込んでくるのが、ドラッグストアやネットで大人気の「市販の白髪用カラートリートメント」です。「髪を傷めずに染まる」「使うたびにツヤが出る」なんて魅力的なキャッチコピーが並んでいたら、つい買いたくなっちゃいますよね。気持ちは痛いほど分かります。
でもね、美容師の本音を言わせてください。
サロンワークをしていると、年に何回か本当にあるんです。「KAZUさん、助けてください!髪が……髪が変な緑色になっちゃったんです……!」と、半泣きで駆け込んでくるお客様が。
今回は、なぜ手軽なはずのカラートリートメントで「髪がゾンビのような緑色になる悲劇」が起きるのか、その正体と絶対にやってはいけないNGな使い方をプロの視点から包み隠さずお話しします。少し辛口に聞こえるかもしれませんが、あなたの大切な髪を守るための愛のムチだと思って、最後までじっくり読んでみてくださいね。
なぜ白髪染めカラートリートメントで髪が緑色になるのか
「ブラウンを買ったはずなのに、なんで緑色になるの?不良品じゃないの?」って思いますよね。でもこれ、製品の欠陥ではなく、ちゃんとした理由(科学と色彩のワナ)があるんです。
「青」と「黄」が混ざるシンプルな色彩の罠
小学校の図工の時間を思い出してみてください。「青」と「黄」を混ぜると何色になりますか?そう、「緑」ですよね。実はこれが髪の上でそのまま起きているんです。
市販のカラートリートメントで「ダークブラウン」や「アッシュブラウン」などの深みのある色を作る際、メーカーは赤・青・黄の染料を絶妙に混ぜて黒っぽい茶色を作っています。特に赤みを抑えたオシャレなブラウンには、たくさんの「青系染料(塩基性青など)」が使われているんです。
一方で、私たち日本人の髪は、年齢とともにメラニンが減ったり、日々の紫外線やダメージで色が抜けたりすると、だんだん「黄色」っぽく退色していきます。
さらに厄介なのが、染料の落ちるスピードの違いです。赤や黄色の染料はシャンプーですぐに流れ落ちやすいのに対して、青や緑の染料は髪の表面に頑固にしがみつく性質があります。その結果、赤みが抜けて「残留した青」と「ベースの髪の黄色」がガッチリ握手をしてしまい、見事なモスグリーン(緑色)が完成してしまうわけです。
美容室のカラー剤とカラートリートメントの相性最悪問題
緑色になる最大の引き金、それは「カラートリートメントを使っている髪に、美容室や市販の通常の白髪染め(酸化染毛剤)を重ねたとき」です。
カラートリートメントの染料は、髪の表面(キューティクルの隙間)にペタッとくっつくコーティングのようなもの。そこに、アルカリ剤や過酸化水素を使った一般的なヘアカラーをドカンと乗せると、化学反応が起きてしまいます。
カラー剤のパワーで髪のメラニンや赤みが削られた瞬間、カラートリートメントの青色染料だけが異常に変色・定着してしまい、一瞬で鮮やかな緑色に発色します。こうなると、私たちプロの美容師でもその場ですぐにキレイな茶色に戻すのは至難の業なんです。
絶対にやってはいけないカラートリートメントのNGな使い方
「カラートリートメント=トリートメントだから何をやっても髪に優しい」と勘違いしていませんか?その油断が、取り返しのつかない大惨事を招きます。ここからは、プロから見て「それだけは勘弁してくれ!」と叫びたくなるNG行為をご紹介します。
美容室に行く直前まで使い続ける
これが一番多いトラブルです。「来週美容室に行くけど、生え際の白髪が気になるから昨日もカラートリートメントしちゃった」というパターン。これ、美容師からすると完全にホラー映画の始まりです。
髪の表面にコーティング染料が残った状態でサロンのカラーを塗ると、狙った色にならないどころか、色ムラができるか、変色(緑化)するか、最悪の場合は全く染まらなくなります。
美容室でカラーをする予定があるなら、**最低でも行く「1週間〜10日前」にはカラートリートメントの使用を完全にストップ**してください。そして毎日のシャンプーで、表面の染料をできる限り落としてからサロンに来てほしいんです。
明るい髪やブリーチ毛にダーク系を使う
「根元の白髪だけじゃなくて、毛先のパサついて明るくなった部分も一緒にトーンダウンしちゃおう」と、全体にたっぷり塗りたくっていませんか?
ダメージを受けて明るくなっている毛先は、キューティクルがボロボロに開いていて、染料をものすごい勢いで吸い込みます(これを専門用語で過吸着と呼びます)。黄色っぽく抜けたハイダメージ部分に青みの強いダークブラウンを入れると、根元は染まらず毛先だけが不気味な深緑に染まるという、悲惨なグラデーションが出来上がります。
時間を置けば置くほど染まると思って放置しすぎる
「説明書には5分〜10分って書いてあるけど、30分ラップを巻いて放置した方がしっかり染まるでしょ!」
はい、ストップ。それ、絶対にやめてください。
カラートリートメントは一般的なカラー剤と違って、時間を置けば置くほど特定の染料(特に落ちにくい青系染料)ばかりが過剰に髪に定着してしまいます。規定時間を超えて放置することは、髪を緑色にするリスクを自分で跳ね上げているようなものです。商品の説明書に書いてある放置時間は、メーカーが研究に研究を重ねて導き出した「安全な限界タイム」なんですよ。
もし髪が緑色になってしまったときの正しい対処法
「もう手遅れ!今まさに私の髪、緑色なんですけど!?」と焦っている方、落ち着いてください。ここでパニックになって間違った行動をとると、髪がチリチリのホウキになって取り返しがつかなくなります。
自力で脱色やカラー剤を重ねるのは絶対にNG
緑を消そうとして、ドラッグストアで普通の黒染めやブリーチを買ってきて自分で上から被せるのだけは、絶対にやめてください。断言しますが、100%失敗します。
ブリーチをすると余計に鮮やかな蛍光グリーンに変化することがありますし、強い黒染めを重ねると、緑色を内側に閉じ込めたまま真っ黒になり、二度と明るくできない濁ったカラスのような髪色になってしまいます。自分でどうにかしようとするのは火に油を注ぐ行為です。
シャンプーで少しずつ落とすか、プロに正直に白状する
自分でできる唯一の安全な対処法は、「洗浄力のしっかりしたシャンプーで毎日洗って、自然に染料が落ちるのを待つ」ことです。スカルプ系シャンプーや、お湯の温度を少し高めにして洗うと、表面のコーティング染料は徐々に薄くなっていきます。
「そんなの待てない!明日出かけるのにどうしたらいいの!」という場合は、今すぐ行きつけの美容室に電話してください。そして、電話口でこう言ってください。
「市販のカラートリートメントを使っていたら、髪が緑色になってしまいました」と。
恥ずかしがる必要はまったくありません。私たち美容師はレスキューのプロです。事前に状況が分かっていれば、補色(緑の反対色である赤やピンク)を計算して配合し、緑を打ち消す特別なカラー調合を準備して迎え撃つことができます。
カラートリートメントと上手に付き合うためのプロのアドバイス
ここまで散々脅かすようなことを言いましたが、私は市販のカラートリートメントを100%否定したいわけじゃないんです。正しい知識を持って、正しく使えば、忙しい大人世代の強い味方になってくれるアイテムなのは間違いありません。
あくまで「次の美容室までのつなぎ」と割り切る
カラートリートメントで白髪を「完全にキレイに染め切る」と思わないことです。顔まわりや分け目の、どうしても気になる数本の白髪を「次の美容室に行くまでの間、目立たなくさせるカモフラージュ」程度に考えて使いましょう。
選ぶ色も、アッシュ系やダークブラウンなどの青みが強いものではなく、少し赤みのある「ウォームブラウン」や「ナチュラルブラウン」を選ぶと、黄色と混ざっても緑になりにくいので失敗が減りますよ。
美容師には「何を使っていたか」を隠さず伝える
最後に、これだけは覚えておいてください。美容室でカウンセリングを受けるとき、カラートリートメントを使っていることを隠すお客様が結構いらっしゃいます。「怒られるんじゃないか」「市販品を使ってるのが恥ずかしい」と思うのかもしれません。
でも、美容師は怒ったりしません。むしろ、使っている製品名や最後に使った時期を正直に教えてもらえると、「よし、じゃあこの薬で緑化を防ごう」「今回はアルカリを弱めて調合しよう」と、あなたにとってベストで安全な施術プランを組み立てることができます。
髪の履歴を正直に話してくれるお客様は、美容師にとって本当にありがたい存在なんですよ。
まとめ
手軽で便利な市販の白髪用カラートリートメント。でもその裏には、「青色染料の残留」と「カラー剤との化学反応」による、髪が緑色になってしまうリスクが潜んでいます。
美しい髪色とツヤを守るためには、自己判断で無理な使い方をせず、性質をしっかり理解して付き合うことが大切です。
もし今、白髪の染まり具合や髪色の濁り、ダメージに悩んでいるなら、一人で悩んで市販品に頼り切る前に、担当の美容師さんに相談するのが一番ですよ。あなたの髪質やライフスタイルに合わせた、一番きれいでストレスのない白髪対策を一緒に見つけてくれるはずです。
大人世代の髪の悩みは尽きないものですが、正しい知識を持っていれば決して怖いものではありません。あなたの髪がいつでもツヤツヤで、毎日を笑顔で過ごせるよう、これからもプロの現場から役立つ本音情報を発信していきますね。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!これからも読者のみなさまの髪が美しく輝き続けられるよう、全力で応援しています。ぜひ、また次回のブログも見に来てくださいね。よろしくお願いします!

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