「髪質改善したのに…」その怒り、ごもっともです
こんにちは、現役美容師のKAZUです。キャリアは気づけば20年を超え、これまでに何万人もの髪に触れてきました。酸いも甘いも噛み分けてきた僕ですが、最近、新規のお客様から本当に多くいただく「悲痛な叫び」があります。
「高いお金を払って髪質改善をしたのに、前よりバサバサになったんです……」
「SNSで見たツヤツヤの髪になりたくて行ったのに、お風呂上がりに乾かしたらチリチリで……」
これね、本当に胸が痛む。と同時に、同じ美容師としてめちゃくちゃ腹が立ちます。あなたが勇気を出して、自分へのご褒美や髪の悩みを解決するために、安くないお金と貴重な時間を投資した結果がこれですか?って。
まず、最初にあなたに一番伝えたいことがあります。
「その失敗、あなたの髪質のせいじゃありません。100%施術した側の責任です」
「私の髪が傷みすぎていたからかな……」なんて自分を責める必要は一切ありません。今日は、キャリア20年の僕が、業界の裏事情も交えながら、なぜ「髪質改善でバサバサになる」という大事故が起きるのか、その“本当の理由”を包み隠さずお話ししますね。ちょっと辛口になりますが、あなたの髪を守るために大切なことなので、ぜひ最後までお付き合いください。
そもそも「髪質改善」って何?という大いなる誤解
さて、そもそもあなたにお聞きしたいんですが、「髪質改善」って何をするメニューだと思いますか?
「え、トリートメントのすごい版でしょ?」とか「縮毛矯正とは違う、痛まないストレートでしょ?」って思ったあなた。……残念ながら、それこそが最初の落とし穴です。
ぶっちゃけた話をしますね。実は美容業界において、「髪質改善」という言葉に明確なルールや定義はありません。
言ってみれば、ただの「キャッチコピー」なんです。極端な話、ただのシャンプーをして「髪質改善です!」と言い張っても、誰も罰することはできません。これ、めちゃくちゃ怖くないですか?
現在、世の中の美容室が「髪質改善」と呼んでいるメニューは、大きく分けて以下の3つに分類されます。
・酸熱トリートメント(酸と熱の力で、髪の内部を一時的に補強する)
・縮毛矯正、ストレートパーマ(還元剤という薬を使って、髪のクセを伸ばす)
・システムトリートメント(何ステップもの栄養分を重ねて入れる、高級トリートメント)
これらを全部ひっくるめて、どこのお店も「髪質改善」という名前で売り出しているんです。だから、あなたが「トリートメント感覚」で受けたものが、実はゴリゴリに髪の結合を切る「縮毛矯正」だったり、逆に「クセを伸ばしたい」と思って行ったのに、ただの「トリートメント」で1回洗ったら元通り、なんてことが日常茶飯事に起きています。
あなたの髪がバサバサになった「3つの残酷な真実」
では、なぜ髪を良くするためのメニューで、逆にバサバサになってしまうのか。その具体的な原因を3つ、お話しします。
美容師の技術・知識不足(これが9割です)
「カリスマ美容師が言うことじゃない」と思われるかもしれませんが、これが今の美容業界のリアルです。SNSで「髪質改善」がバズった結果、ろくに勉強もしていない、薬剤の知識もない美容師が、メーカーのマニュアル通りに薬を塗ってアイロンを当てているケースがめちゃくちゃ多いんです。
特に危険なのが、一時期大ブームになった「酸熱トリートメント」。これは「酸性」の薬剤を髪に塗って、最後に高熱のアイロンで脱水縮合させることで髪をツヤツヤにする技術です。しかし、この「酸」の加減がめちゃくちゃ難しい。髪に対して酸が強すぎたり、アイロンの温度が高すぎたりすると、髪の水分が完全に奪われて「過収縮」を起こします。結果、仕上がりは硬く、針金のようにツンツンになり、時間が経つとバサバサ・チリチリの「ビビリ毛」になってしまうんです。技術のない美容師が流行りに乗っかって触ると、髪は簡単に崩壊します。
「トリートメント」という名の「マイルドな縮毛矯正」をされていた
「傷まない髪質改善ストレート」「次世代トリートメント」なんて甘い言葉、聞いたことありませんか?
はっきり言います。髪を真っ直ぐにする、うねりを落ち着かせる効果があるものは、どれだけマイルドと謳っていようが、すべて「還元剤(髪の結合を切る薬)」が入っています。つまり、実質は縮毛矯正やストレートパーマなんです。
「トリートメントだから傷まないですよ!」という美容師の言葉を真に受けて、パーマ液が入った薬剤を何度も重ねて塗られたらどうなるか。当然、髪の体力は限界を迎えて、ある日突然、バサバサに破綻します。傷まない魔法の薬なんて、この世には存在しません。
30代〜50代の髪の履歴と「やりたいこと」がズレていた
僕たちの読者層である30代から50代の大人世代の髪は、10代や20代の髪とはワケが違います。年齢とともに髪の内部の水分や脂質が減り、髪自体がデリケートになる「エイジング毛」へと変化しているんです。
さらに、多くの方が白髪染め(グレイカラー)を定期的にしていたり、大人の身だしなみとして毎朝ヘアアイロンを使ったりしていますよね。
この「エイジング」+「白髪染めのダメージ」が蓄積されたデリケートな髪に、知識のない美容師が若い子と同じ感覚で「強い酸」や「縮毛矯正剤」をぶち込んだらどうなるか。結果は火を見るより明らか。耐えきれなくなった髪が悲鳴を上げて、一瞬でバサバサになってしまうんです。大人世代の髪にこそ、一番繊細な薬剤選定とコントロールが必要なのに、そこを無視した施術が多すぎます。
失敗されてしまった髪をどう救い出すか
もし今、この記事を読みながら「私の髪、まさにそれだ……」と絶望しているあなた。落ち込まないでください。今からどうすればそのバサバサを落ち着かせ、まともな状態に戻していけるか、現実的な解決策を教えます。
まず、大前提として知っておいてほしいのは、「一度傷んでしまった髪は、二度と元の健康な状態には戻らない」ということです。髪は死んだ細胞の集まり(死滅細胞)なので、自己修復機能はありません。だから、バサバサになったからといって「また別の美容室で髪質改善をして、上からコーティングしてごまかそう」とするのは絶対にやめてください。トリートメントのやりすぎ、引き算のない足し算だけのケアは、さらに髪を硬くし、ダメージを悪化させます。
じゃあどうすればいいのか。まずは「引き算のケア」にシフトすることです。
具体的には、お家でのシャンプーを「マイルドな洗浄力のアミノ酸系シャンプー」に変えること。バサバサになった髪は、キューティクルが剥がれて中の栄養がダダ漏れの状態です。洗浄力が強すぎる市販のシャンプーを使うと、毎日髪を痛めつけているようなもの。まずは髪を優しく洗い、余計な皮脂を取りすぎない環境を作ってあげましょう。
そして、お風呂上がりには必ず「アウトバストリートメント(洗い流さないトリートメント)」をつけて、ドライヤーで優しく、でも完全に乾かすこと。濡れたまま放置するのが一番髪を傷ませます。「乾かしすぎ(オーバードライ)」も良くないですが、水分が残った状態はもっと危険。頭皮から毛先に向かって、キューティクルを整えるように風を当てて乾かしてください。
失敗しない美容室・美容師の選び方
もう二度と髪質改善で失敗したくない、信頼できる美容師に出会いたい。そう思うのは当然ですよね。最後に、現役20年の僕が教える「本物の美容師を見極めるポイント」をいくつか伝授します。ホットペッパーやSNSを見る時の参考にしてくださいね。
メリットばかり言う美容師は信用するな
「絶対に痛まない」「誰でも一瞬でツヤツヤ」「一度やれば半永久的」
こんな夢のような言葉ばかり並べている美容師や広告は、悪いけど一発アウトです。プロであればあるほど、薬剤のリスクやデメリットを熟知しています。
「あなたの今の髪の状態だと、ここまでのツヤは出せますが、これ以上の無理をするとチリチリになりますよ」と、ちゃんとしたリスクや限界を提示してくれる美容師こそが、本当にあなたの髪を考えてくれている「誠実なプロ」です。
カウンセリングに最低でも15分以上かけてくれるか
大人の髪を扱う上で、これまでの「施術履歴」の把握は命です。いつ白髪染めをしたか、セルフカラーはしていないか、普段使うアイロンの温度は何度か、他店でどんな髪質改善をしたか。
席に座って2〜3分で「じゃあ、いつもの髪質改善やっときますね〜」なんて始める美容室は、あなたの髪を見ていません。過去の履歴を丁寧に、まるで問診のように聞き出してくれる美容師を選んでください。
「髪質改善」の具体的な中身を説明できるか
もし美容室に行ったら、恥ずかしがらずに「今日やる髪質改善って、具体的にどういうお薬なんですか?」と聞いてみてください。
「うちのオリジナルのすごい栄養分ですよ」なんて濁す美容師は怪しい。「今回は髪のうねりを少し落ち着かせるために、微量の還元剤が入ったお薬を使いますね」とか「今回はダメージ補修がメインなので、酸の力で内部を補強するトリートメントをします」と、素人にもわかりやすくロジックを説明できる美容師は勉強しています。そういう人に任せるのが一番安全です。
最後に:あなたの髪はもっと綺麗になれる
色々ときついことも書きましたが、僕が一番言いたいのは、あなたの髪は諦める必要なんてまったくない、ということです。
髪質改善で失敗してバサバサになったとしても、適切なケアを続け、信頼できる美容師に伴走してもらえば、数ヶ月、数年かけて必ず扱いやすい、あなた本来の美しい髪を取り戻すことができます。30代〜50代の大人の髪には、大人にしか出せない、品のある美しいツヤと質感があるんですから。
もし今、一人で悩んでネットの情報を検索し続けているなら、まずはそのスマホを置いて、信頼できる、話しやすいプロに直接相談してみてください。悩みがあれば、担当の美容師さんに相談するのが一番ですよ。あなたのライフスタイルや髪の履歴を一番よく知っているプロが、きっと解決の糸口を見つけてくれるはずです。
これからも、皆さんの髪の悩みに寄り添い、本当に役立つ「美容師の本音」をお届けしていきます。少しでも「参考になったな」「心が軽くなったな」と思っていただけたら、ぜひこれからもこのブログを応援していただけると嬉しいです。読者様にこれからも見ていただけるように、よろしくお願いします。最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!

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