こんにちは、現役美容師のKAZUです。
美容師としてハサミを握り続けて20年以上。これまで何千人、何万人というお客様の髪を担当してきました。
30代を過ぎたあたりから増え始める「白髪」の悩み。鏡を見るたびにため息が出て、「あ、ここにも生えてる……」と憂鬱になりますよね。その気持ち、痛いほどよく分かります。
でもね、今日はずっと言いたかった「プロとしての本音」を、あえて少し辛口でお話しさせてください。
ドラッグストアの棚にずらりと並ぶ、数百円から千円ちょっとで買える市販の白髪染め。手軽だし、安いし、明日のお出かけに間に合わせたいからと、ついつい手に取っていませんか?
ハッキリ言います。「今すぐ、その市販の白髪染めを使うのをやめてください。」
その場しのぎで市販の白髪染めを使い続けていると、5年後、10年後にあなたの髪と頭皮は確実に悲鳴をあげます。「あのとき、ちゃんと美容室で染めておけばよかった……」と泣きついてくるお客様を、僕はこれまで何百人も見てきました。今回は、なぜ市販の白髪染めが危険なのか、10年後にどんな後悔が待っているのかを徹底的に暴露します。
市販の白髪染めが「手軽で安い」のには裏がある
まず知ってほしいのは、市販のカラー剤がなぜあんなに安くて、誰がやってもそれなりに染まるのかというカラクリです。
誰でも染まる=誰の髪でも壊すパワーがあるということ
世の中には、剛毛で染まりにくい人もいれば、細毛でダメージを受けやすい人もいます。プロの美容師なら、お客様一人ひとりの髪質、太さ、現在のダメージレベル、頭皮の状態を見て、何種類もの薬剤をグラム単位で調合して塗り分けます。
では、市販の白髪染めはどう作られていると思いますか?
答えは簡単。「どんなに太くて硬くて染まりにくい髪質の人でも、絶対に染まる超強力なパワー」で作られています。
つまり、普通の髪や傷みやすい髪の人にとっては「劇薬」に近いレベルの過剰なパワーなんです。太いロープを切るための巨大なナタで、細い糸をぶった切っているようなもの。そりゃあ髪もズタボロになりますよね。
「ダメージレス」「植物由来」のキャッチコピーに騙されないで
パッケージに「ボタニカル成分配合」「アルガンオイル入りでツヤツヤ」「髪に優しい」なんて書いてあると、なんだか良さそうに見えますよね。でも、マーケティングの言葉に惑わされないでください。
どれだけオーガニックなオイルが数滴入っていようが、キューティクルを無理やりこじ開けて髪の芯まで染料をねじ込むための化学薬品(強いアルカリ剤や高濃度の過酸化水素)が入っていることに変わりはありません。根本的なパワーが強すぎる以上、ちょっとやそっとのトリートメント成分では髪の崩壊を食い止めることはできないんです。
市販の白髪染めを使い続けると10年後に待っている「取り返しのつかない悲劇」
「でも、今使ってて特に問題ないけど?」と思っているあなた。ダメージは静かに、でも確実に蓄積しています。10年後にどんな未来が待っているのか、具体的に教えましょう。
髪がゴワゴワ・パサパサで実年齢より10歳老けて見える
市販の強いアルカリ剤は、髪の内部にあるタンパク質を容赦なく流出させます。髪の中がスカスカのスポンジ状態になるんです。
こうなると、どんなに高価なトリートメントをつけても中身が抜け落ちてしまい、髪はバサバサのチリチリ。ツヤは完全に消え去り、触るとゴワゴワとした藁(わら)のような手触りになります。
人の見た目年齢を大きく左右するのは、実は顔のシワよりも「髪のツヤとボリューム」です。白髪は隠せても、髪自体がボロボロなら、結果として実年齢より10歳以上老けて見えてしまいます。本末転倒だと思いませんか?
頭皮が悲鳴をあげ、薄毛・細毛・抜け毛が一気に加速する
自分で染めるとき、頭皮にべったり薬剤をつけていませんか?
市販の強力な薬剤が頭皮につくと、毛穴や頭皮の細胞に深刻な酸化ダメージ(老化現象)を与えます。これを毎月のように繰り返していると、頭皮がどんどん硬くなり、血行が悪化していきます。
畑で例えるなら、強い農薬を撒きすぎて土壌がカチカチに枯れ果てた状態です。そんな荒れ果てた畑から、元気で健康な作物が育つわけがありませんよね。
結果として、生えてくる髪はどんどん細くなり、抜け毛が増え、分け目やつむじがパックリ割れて地肌が透けてくる……。40代、50代になって「急にボリュームがなくなった」と悩む人の多くは、過去のセルフカラーで頭皮をいじめ抜いてきたツケが回ってきているんです。
美容室で思い通りのカラーが一生できなくなる「黒歴史」
市販の白髪染めには、色持ちをよくするために非常に濃くて頑固な「残留色素」が使われています。これ、実はプロでも落とすのがめちゃくちゃ大変なんです。
「ちょっと明るくしたいな」「透明感のあるアッシュ系にしたいな」と思って美容室に来られても、市販の黒〜濃いブラウンの色素が髪の芯にへばりついているせいで、明るくなりません。無理に明るくしようとすると、根元だけ明るくて毛先が真っ黒という「逆プリン状態」になったり、髪が千切れたりします。
一度セルフカラーでムラだらけになった髪を直す(修正する)には、何ヶ月、場合によっては何年もかかります。市販のカラー剤を使った瞬間、あなたの髪のおしゃれの選択肢は一気に狭まってしまうんです。
サロンの白髪染めと市販品は何がそんなに違うのか?
「美容室の白髪染めは高いから、市販品と大して変わらないなら自分でやりたい」と思う気持ちも分かります。でも、料金の違いにはちゃんとした理由と価値があるんです。
美容師は「あなたの髪の状態」に合わせて薬を何通りも調合している
僕たち美容師は、お客様の髪を見るとき、根元の新しく生えてきた部分、中間部分、毛先の傷んでいる部分をすべて別物として捉えています。
根元の白髪をしっかり染める薬、毛先のダメージを最小限に抑えながら色味を補給する優しい薬、といった具合に、一頭の中で何種類もの薬剤を作り分け、ミリ単位で塗り分けています。だからこそ、白髪をしっかりカバーしながらも、ツヤと手触りを保ち続けることができるんです。
頭皮を守るプロの技術「ゼロテク」と前処理・後処理の存在
サロンでは、カラーを塗る前に頭皮用の保護オイルをつけたり、髪の傷んだ部分に栄養を補給する「前処理」を行います。
さらに、薬剤を頭皮に極力つけずに根元ギリギリから塗布する「ゼロテク(地肌につけない技術)」を使うこともできます。これにより、10年後、20年後の頭皮の健康を守りながら染め続けることが可能です。
そして何より重要なのが「後処理」。カラー後に髪や頭皮に残るとダメージの原因になり続ける「残留アルカリ」や「過酸化水素」を、専用の処理剤で完全に除去して無毒化します。市販のシャンプーで洗い流すだけでは、これらの有害物質は髪に残り続け、何日も髪を傷め続けます。この差が、将来の髪質を決定づけるんです。
どうしても美容室に行けない時の応急処置と賢い付き合い方
「プロの言うことは分かったけど、忙しくてどうしてもサロンに行けない!」「明日の冠婚葬祭だけなんとかしたい!」という時もありますよね。そんな時のための、髪を殺さない応急処置をお伝えします。
リタッチ用のファンデーションやマスカラで乗り切る
生え際や分け目の白髪がどうしても気になるときは、シャンプーで落ちる「白髪用ファンデーション」や「マスカラ」「コンシーラー」を使ってください。
「え、一時しのぎじゃん」と思うかもしれませんが、それが一番いいんです。髪や頭皮をまったく傷めずに、その日の見た目だけを完璧にカバーできます。次のサロン予約までの「時間稼ぎ」としては最強のアイテムです。
全体染めだけは絶対に自分でやらないこと
どうしても市販品で染めざるを得ない場合でも、絶対に「髪全体」に泡やクリームを揉み込むような染め方はやめてください。
見えるところ(顔まわりの生え際や分け目の数ミリ)だけに薬を置き、時間を置いたらすぐに流す。毛先まで伸ばすのは絶対にNGです。毛先に市販の薬がついた瞬間、髪の寿命は一気に縮まります。
10年後の自分の髪を愛せる選択を
市販の白髪染めは、一見すると時間とお金の節約に見えるかもしれません。1回千円で済むなら、美容室の1万円は高く感じるでしょう。
でも、市販のカラーでボロボロになった髪を修復するために、毎月高いトリートメントを買い、育毛剤を買い、縮毛矯正でごまかそうとしてさらに傷み……と繰り返す未来を考えたら、どっちが本当にお得でしょうか?
髪は、あなたが思っている以上にデリケートで、一度死んでしまった細胞は二度と元には戻りません。
白髪染めは、これから何十年と付き合っていくものです。だからこそ、「隠せれば何でもいい」ではなく、「10年後もツヤツヤで若々しい髪でいるための投資」だと考えてほしいなと思います。
もし今、白髪の染め方や髪のダメージで悩んでいるなら、ドラッグストアに走る前に、いつもお世話になっている担当の美容師さんに相談するのが一番ですよ。あなたの髪の歴史を一番よく知っているプロに、「実は白髪が気になってて……」と素直に打ち明けてみてください。きっとあなたにぴったりの、一番髪を傷めない解決策を提案してくれるはずです。
これからも、皆さんの髪がいつまでも美しく健康でいられるような本音の情報を発信していきます。読者の皆様、今後ともどうぞよろしくお願いします!

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