こんにちは、現役美容師のKAZUです。
キャリアも気づけば20年を超え、これまで何万人もの髪を切ってきました。その中で、僕のもとに駆け込んでくる「駆け込み寺」的なお客様の駆け込み理由、堂々の第1位がこれです。
「他の美容室で、とにかく梳かれすぎて髪がスッカスカになっちゃいました……(涙)」
これ、本当に悲惨ですよね。鏡を見るたびにため息が出て、外に出るのも嫌になる。その気持ち、痛いほどよく分かります。でもね、あえてプロとして最初に少し辛口な現実を言わせてください。一度スッカスカにされてしまった髪を、一瞬で元に戻す魔法の薬はこの世に存在しません。失われた髪の厚みを取り戻すには、それなりの「時間」と「覚悟」が必要です。
今回は、そんな悲劇の髪を抱えて絶望しているあなたに向けて、髪が元に戻るまでのリアルな期間と、現役美容師が本気で教える「最短で美髪を復活させるルート」をすべてお話しします。愚痴を言うのはここまでにして、これからどうやって綺麗に戻していくか、一緒に作戦を立てましょう!
なぜ「梳かれすぎスッカスカ」の悲劇が起こってしまうのか
本題に入る前に、そもそもなんでこんなことが起きるのか、その原因をハッキリさせておきましょう。敵を知らねば対策は立てられませんからね。
美容師の技術不足と「とりあえず軽くしておきますね」の罠
ズバリ言いますが、カットの技術不足です。髪を軽くする「セニング(間引き)」という技術は、実はものすごく繊細で難しいんですよ。ただハサミをジャキジャキ入れればいいわけじゃない。髪の生え癖、毛量、頭の形、そして髪質を見て、どこをどれだけ残すべきかを計算して切るのがプロの仕事です。
でも、技術や経験が未熟な美容師ほど、ボリュームを抑えるために「とにかく梳きバサミを根元から入れまくる」という暴挙に出ます。その瞬間は「あ、軽くなった!」と嬉しくなるかもしれませんが、家に帰って自分で洗って乾かした瞬間、毛先はパサパサ、中間はアホ毛だらけの「大惨事」が完成するわけです。
30代から50代の髪質の変化を無視したカット
若い頃と同じ感覚で髪を梳かれると、大人世代の髪は一発でアウトです。30代を過ぎると、髪の水分量や油分が減り、どうしても「うねり」や「パサつき」が出やすくなります。つまり、髪の1本1本がデリケートになっているんです。
そこに大量のハサミを入れてスカスカにすると、髪の重さがなくなって、隠れていたうねりやクセが暴れ出します。髪が広がってまとまらないからといって、さらに梳く……なんていう地獄のループに陥っている人を、僕は数え切れないほど見てきました。
悲劇の髪が元に戻るまでの「リアルな期間」を教えます
さて、ここからはちょっと耳の痛い、でも絶対に知っておかなければならない「期間」のお話です。
髪は1ヶ月に1センチしか伸びないという残酷な事実
人間の髪の毛が伸びるペースは、個人差はあれど「1ヶ月に約1センチ(1年で約12センチ)」です。これは、どんなに高いシャンプーを使っても、どんなに高い育毛剤を塗っても、劇的に変わることはありません。
スッカスカになって軽くなってしまった毛先に、もう一度「厚み」を出すためには、新しく生えてきた健康な髪がその位置まで伸びてくるのを待つしかないのです。
ショート・ボブの場合の復活期間
もしあなたの今の髪型がショートやボブで、全体的にスカスカにされてしまった場合。元のまとまりのある重めシルエットに戻るまでには、最低でも「半年から1年」はかかります。ショートやボブは全体のシルエット(形)が命なので、毛先の軽さがダイレクトに目立ちます。定期的に毛先を揃えながら、厚みを上に持ち上げていく作業が必要です。
ミディアム・ロングの場合の復活期間
鎖骨より下のミディアムやロングヘアで、胸元あたりがスカスカになってしまった場合。これは正直、かなり覚悟が必要です。完全に元の綺麗な状態(均一な厚みがあるロング)に戻すには、「2年から3年」の歳月がかかります。
「えっ、そんなにかかるの!?」と絶望したあなた、大丈夫。これは「何もしないで完璧なロングに戻す場合」の話です。この期間をいかにストレスなく、綺麗に見せながら乗り切るかが、僕たち美容師の腕の見せ所なんです。
やってはいけない!焦りからくる「間違った自己流ケア」
髪がスカスカになると、焦っていろいろなことをしたくなりますよね。でも、ちょっと待って。その行動、余計に髪を傷めて復活を遅らせているかもしれません。
オイルをギトギトになるまで塗りたくる
毛先がパサついて広がるからといって、ヘアオイルをこれでもかと大量に塗っていませんか?「濡れ髪風」と言えば聞こえはいいですが、梳かれすぎてスカスカの髪にオイルを塗りすぎると、ただの「お風呂に入っていない人」みたいな不潔な印象になってしまいます。さらに、重みで髪がペタンと潰れて、余計に老けて見える原因にもなります。オイルは適量が鉄則です。
毎日ヘアアイロンで180度以上の熱を当てる
「うねるし広がるから、アイロンで毎日真っ直ぐに伸ばしています」というあなた。そのアイロンの温度、何度ですか? 180度や200度の高温で毎日熱を通していると、ただでさえスカスカで体力の減っている髪の毛は、どんどん「熱変性」を起こして硬くなり、最後にはチリチリになってちぎれます。髪を伸ばしている最中の過度なアイロンワークは、自分で自分の首を絞めるようなものです。
プロが伝授する「最短復活ルート」具体的ステップ
お待たせしました。ここからは、悲劇のスカスカ髪から1日でも早く脱出するための、具体的かつ現実的な「最短復活ルート」を伝授します。明日から、いや、今すぐ実践してください。
「長さを変えずに、厚みを作る」メンテナンスカットをする
多くの人が「髪を伸ばしたいからカットはしない」と考えがちですが、これは逆効果です。スカスカの毛先は、放っておくと衣服の摩擦や乾燥でどんどん枝毛になり、上へ上へと裂けていってしまいます。結果、伸びても綺麗な髪になりません。
正しいやり方は、「長さはほとんど変えずに、数ミリ単位で毛先を整え、全体の厚みのバランスを合わせてもらう」というメンテナンスカットです。信頼できる美容師さんに「長さは変えたくないけど、スカスカの部分に厚みを出していきたい」とはっきり伝えて、1ヶ月半〜2ヶ月に1回、ほんの少しずつ整えてもらいましょう。これが一番の近道です。
「アウトバストリートメント」の使い方を見直す
スカスカの髪は、内部の栄養がダダ漏れ状態です。お風呂上がりの濡れた髪には、必ず「ミルクタイプ(乳液状)」の洗い流さないトリートメントをつけてください。ミルクタイプは髪の内部に水分と栄養を補給してくれます。その上から、好みに合わせて軽く「オイルタイプ」を薄く重ねる。この「ダブル使い」が、乾燥して暴れるスカスカ髪を落ち着かせる最強の組み合わせです。
思い切って「数センチ切る」という勇気を持つ
もしあなたが「もう本当にこのパサパサに耐えられない!」と限界を迎えているなら、思い切って5センチから10センチ、傷んでいるスカスカの部分をバッサリ切ることをおすすめします。
未練がましくスカスカのロングをキープしているよりも、思い切って鎖骨ラインの重めロブやボブにした方が、驚くほど髪が綺麗に見えて、周囲からの評判も上がることが多々あります。髪のツヤとまとまりは、長さよりも「見た目の清潔感」に直結するからです。たまには、引くことも勇気ですよ。
次こそ失敗しないための「賢いオーダー法」
二度と同じ過ちを繰り返さないために、次回美容室に行く時のオーダーのコツを覚えておいてください。
「軽くしてください」は絶対に禁句
カウンセリングで「量が多いので、軽くしてください」と言うのは、今日限りでやめましょう。この言葉は、美容師にとって「いくらでも梳いていいですよ」という許可証のようなものです。
代わりにこう言ってください。
「毛量は調節してほしいですが、毛先に厚みとまとまりを残したいので、梳きバサミはあまり使わないでください」
これだけで、美容師側のハサミの入れ方は劇的に変わります。まともな美容師なら、これでピンとくるはずです。
悩みや理想のイメージを写真で見せる
言葉での意思疎通には限界があります。あなたが「重め」と思っているスタイルと、美容師が思う「重め」は違うことが多い。だからこそ、自分の理想とするスタイルの写真を必ず2〜3枚は見せてください。できれば、自分の今の髪に近い長さの写真が良いですね。視覚的なイメージを共有することが、失敗を防ぐ最大の防御策です。
あせらず、じっくり、あなたの髪を愛してあげて
髪がスカスカにされてしまった時のショックは、計り知れないものです。毎朝鏡を見ては、落ち込む日々を送っているかもしれません。でも、髪の毛は生きています。あなたが諦めずに正しいケアをして、少しずつハサミを入れていけば、絶対に元の綺麗な、いや、以前よりも美しい髪に戻ることができます。
焦って変な施術をしたり、過度なヘアケアでいじめたりせず、自分の髪をいたわりながら、ゆっくり復活のステップを歩んでいきましょうね。
もし、自分だけではどうにもできない、どう進めていいか分からないという深い悩みがあれば、担当の美容師さんに相談するのが一番ですよ。あなたの髪の履歴やクセを一番分かってくれているプロに、素直に「今、こういう状態が辛い」と打ち明けてみてください。きっと親身になって、あなたに寄り添った解決策を一緒に考えてくれるはずです。
読者の皆様、最後までお読みいただきありがとうございました。これからもあなたの髪の悩みに寄り添う、リアルな本音を発信していきますので、どうぞよろしくお願いします!

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