こんにちは、現役美容師のKAZUです。
美容師としてハサミを握り続けて20年以上。これまで、のべ数万人もの髪に触れてきました。30代、40代、そして50代。年齢を重ねるごとに増えていく髪の悩み。白髪、うねり、パサつき、ボリューム不足……。そんな悩みを解決しようと、毎日アイロンやコテを使って必死にスタイリングしている方も多いはずです。
そこで今日は、皆さんが当たり前のように信じている「ある常識」に、プロとして、そして一人の男として、あえて「NO」を突きつけたいと思います。それは、アイロンを使う前にシュッと吹きかける「熱から守る」と謳ったアイロン用ローションや保護スプレーの存在です。
ぶっちゃけ言わせてもらいます。そのローション、あなたの髪を救うどころか、じわじわと「トドメ」を刺しているかもしれませんよ。今日は、メーカーや広告が絶対に言わない、アイロン用ローションの不都合な真実を全部ぶちまけます。
熱から守るという言葉の甘い罠
ドラッグストアやネット通販に行けば、「熱を味方にする」「180度でも傷まない」「アイロンの熱から髪をガード」なんて魅力的なキャッチコピーが溢れています。これを読んでいるあなたも、「何もつけないでアイロンするのは怖いから、とりあえずこれを付けておけば安心」と思って使っていませんか?
でも、ちょっと待ってください。冷静に考えてみてほしいんです。180度の高温で熱せられた鉄の板で髪を挟むんですよ? 卵をフライパンに落とせば一瞬で白く固まる、あの温度です。そんな殺人的な熱を、たかだか数百円や数千円の液体をシュシュっと吹きかけただけで、完璧に防げるわけがないじゃないですか。
僕らプロの目から見れば、あれは「防弾チョッキ」じゃありません。せいぜい「薄いTシャツ」一枚くらいの気休めです。なのに、それを着ているからといって銃弾(高熱)が飛び交う戦場に丸腰で突っ込んでいく。これが、今の皆さんのアイロン習慣の正体なんです。「つけているから大丈夫」という根拠のない安心感が、一番の敵なんですよ。
髪の内部で起きている水蒸気爆発の恐怖
ここが一番重要なポイントです。多くのアイロン用ローションは、その成分のほとんどが「水」です。皆さんは、髪に水分が残った状態でアイロンを当てたとき、「ジュッ!」という音とともに湯気が出た経験はありませんか?
あれ、実は「水蒸気爆発」って呼ばれる現象なんです。髪の表面についた水分が、アイロンの熱で一瞬にして気体になる。その際、体積が急激に膨れ上がります。それが髪の内部で起きるとどうなるか。髪のキューティクルを内側からぶち破って、髪の繊維をボロボロにしてしまうんです。
「熱から守る」ためのローションで髪を湿らせ、そこにアイロンを当てる。これ、実は自ら進んで髪を爆破しているようなものなんです。プロから言わせれば、自殺行為に等しい。髪を乾かさずにアイロンをするのが一番ダメなのは知っていると思いますが、良かれと思ってつけているローションが、結果的に髪を「湿らせた状態」にしてしまっている。これが不都合な真実の第一歩です。
コーティング剤が髪を窒息させる
もちろん、ローションには熱を和らげるためのオイル成分やシリコン、ポリマーといったコーティング剤が含まれています。これらが熱によって髪に張り付き、一時的にツヤを出したり、形をキープしたりしてくれます。だから、使った直後は「お、綺麗になった!」と感じるはずです。
でもね、これも落とし穴。この強固なコーティングが、実は曲者なんです。アイロンの熱で焼き付けられたコーティング剤は、普通のシャンプーではなかなか落ちません。するとどうなるか。髪の表面に古いワックスやシリコンがこびりついたままになり、髪がどんどん重く、硬くなっていくんです。
さらに最悪なのは、そのコーティングのせいで、後から入れるトリートメントの栄養分や、髪に必要な水分が中に入らなくなること。外側だけテカテカして、中身はスカスカの「ミイラ状態」の髪。30代以降の髪は、ただでさえ栄養を蓄える力が落ちているのに、そんなことを続けていたら、あっという間に髪は死んでしまいますよ。
30代からの髪はガラス細工だと思え
いいかい、よく聞いてください。10代や20代の若くて健康な髪なら、多少の無理は効くかもしれません。でも、30代を過ぎてからの髪は、例えるなら「繊細なガラス細工」なんです。女性ならホルモンバランスの変化、男性なら加齢による髪の細分化。みんな、自分が思っている以上に髪の体力が落ちています。
若い頃と同じ感覚で、高い温度で毎日アイロンを当てて、宣伝文句を信じてローションをたっぷり塗る。これは、骨粗鬆症のおじいちゃんにフルマラソンを強要しているようなものです。いつかポキッと折れてしまいますよ。実際、僕のお店に来るお客様でも、表面の髪だけがチリチリに焼けてしまっている方が本当に多い。その原因の多くが、「間違ったアイロンケア」なんです。
「でも、アイロンを使わないと外に出られない!」という気持ちも分かります。うねりを抑えたいし、ツヤも欲しいですよね。だったら、道具や薬に頼る前に、やり方を変えなきゃいけない。道具はあくまで「補助」であって、あなたの髪を守ってくれる「魔法」じゃないんです。
プロが教える本当のヒートプロテクト
じゃあ、どうすればいいのか。僕がお客様にいつも伝えている「本気で髪を守るためのルール」を教えます。これを守るだけで、高いローションを買うより100倍髪は綺麗になりますよ。
まずは完全に乾かすこと
当たり前すぎて拍子抜けしましたか? でも、これができていない人が9割です。手で触って「乾いたかな」と思っても、髪の内部にはまだ水分が残っています。ドライヤーで乾かした後、冷風を当ててみてください。そこで冷たく感じる場所があれば、まだ水分が残っている証拠です。アイロンを当てるのは、そこからさらに3分乾かした後。これ、鉄則です。
アイロンの温度は140度から160度まで
「180度じゃないと形がつかない」なんて言う人がいますが、それはアイロンを当てるスピードが速すぎるか、一度に挟む毛束が多すぎるだけです。180度以上は、髪のタンパク質が修復不可能なレベルで変性します。生卵がゆで卵になったら、二度と生には戻らないでしょう? 髪も同じです。低い温度で、ゆっくりと熱を伝える。これがプロの技です。
アイロン前に何もつけない勇気を持つ
どうしても何か付けたいなら、水分の入っていない「オイル」を、ほんの、本当にほんの少しだけ、毛先に馴染ませる程度にしてください。そして、付けた後に必ずブラッシングをしてムラをなくすこと。ベタベタに塗ってアイロンを当てるのは、天ぷらを揚げているのと同じです。基本は「素髪」でアイロン。形を作った後に、スタイリング剤としてオイルやバームで保護する。これが一番髪を傷めない方法です。
メーカーの言葉を疑うことから始めよう
化粧品メーカーは、新商品を買ってもらわなきゃ商売になりません。だから「〇〇成分配合で熱を味方に!」なんて魅力的な言葉を作ります。でも、彼らはあなたの髪が5年後、10年後にどうなっているかまでは責任を持ってくれません。
僕ら美容師は違います。今日、目の前にいるあなたの髪を綺麗にするのはもちろん、来月も、来年も、10年後も、あなたが鏡を見て笑顔になれるように責任を持たなきゃいけない。だから、あえて厳しいことを言います。魔法のローションなんて存在しません。あるのは、あなたの「丁寧な扱い」と「正しい知識」だけなんです。
30代から50代は、自分への投資が髪の結果に直結する世代です。でも、それは「高いものを買う」ことじゃなく、「正しい選択をする」こと。不都合な真実を知った上で、どう自分の髪と向き合うか。今日から、そのアイロン用ローション、少し使うのを休んでみませんか?
一番大切なのはあなたの髪を知ること
ここまで色々と辛口なことを書いてきましたが、結局のところ、髪質は人それぞれ。どうしてもアイロン用ローションが必要な極度の乾燥毛の方もいれば、絶対に使わないほうがいい細毛の方もいます。
ネットの情報や僕のこのブログを鵜呑みにしすぎるのも良くありません(笑)。一番の正解は、あなたの髪の状態をずっと見てくれている、信頼できるプロに聞くことです。
悩みがあれば、担当の美容師さんに相談するのが一番ですよ。彼らはあなたの髪の歴史を知っている、世界で一人のパートナーですからね。僕のアドバイスが、あなたの髪の未来を少しでも明るくするヒントになれば嬉しいです。
これからも、皆さんの髪がずっと美しくいられるような情報を発信していきます。最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします!

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