こんにちは、現役美容師のKAZUです。
美容師を始めて20年以上、毎日たくさんのお客様の髪に触れてきました。そんな僕が、最近どうしても我慢できなくて、今日はあえて「辛口」で言わせてもらいたいことがあります。
それは、あなたが毎日何気なく使っている「ヘアアイロンの温度」についてです。カウンセリングで「アイロンの温度、何度でやってます?」と聞くと、多くの方が悪びれもせず「180度です」「しっかり伸ばしたいから200度にしてます」なんて答えるんですよ。そのたびに僕、心の中で叫んでます。「それ、髪を直火で焼いてるのと一緒だから!」って。
30代から50代。髪の水分量が減り、うねりやパサつきが気になり出すこの世代にとって、ヘアアイロンの温度設定ミスはまさに「致命傷」になります。今日は、あなたが良かれと思って続けているその習慣が、いかに髪の寿命を縮めているか。プロの視点で本音をぶつけさせてもらいますね。
180度という数字が髪にもたらす「修復不能」な惨劇
まず、冷静に考えてみてください。180度って、ステーキを焼く温度ですよ?揚げ物をする時の温度ですよ?そんな高温のプレートで、自分の大切な髪の毛を毎日ギュウギュウ挟んで、じっくり熱を通している。怖くないですか?
髪の毛の主成分は「タンパク質」です。生卵をイメージしてください。生卵に熱を通すと目玉焼きになりますよね。一度固まった目玉焼きは、どれだけ冷やしても、どれだけ高級なトリートメント(醤油やソース?)をかけても、元のドロドロの生卵には戻りません。これを専門用語で「タンパク変性」と言いますが、アイロンの高温はこれと同じことをあなたの髪に引き起こしているんです。
180度で毎日アイロンを通された髪は、内部がスカスカになり、カチカチに固まります。見た目はツヤが出ているように見えるかもしれませんが、それは表面が「焦げてコーティングされている」だけ。内側はもうボロボロです。そうなると、せっかく美容室で高いトリートメントをしても、髪の中に栄養を留めておく力が残っていません。まさにザルに水を注ぐ状態。もったいないと思いませんか?
30代を超えた髪に「昔と同じ設定」は通用しない
「でも、若い頃はこれくらいの温度で平気だったし……」なんて言い訳は、僕には通用しません。悲しいけれど、僕たちの髪は確実にエイジング(老化)しています。10代や20代の健康で太い髪なら、まだある程度の熱にも耐えられるでしょう。でも、30代を過ぎ、40代、50代と重ねていくうちに、髪の「基礎体力」は確実に落ちていくんです。
加齢によって、髪の内部を守るキューティクルが薄くなり、髪の芯にある脂質も減少します。つまり、外部の刺激に対してめちゃくちゃ弱くなっているんです。昔は平気だった180度が、今のあなたにとっては「地獄の熱風」になっていることに気づいてください。白髪染めを繰り返している髪なら、なおさらです。薬剤でダメージを受けたところに追い打ちで高温アイロン。これはもう、髪に対するイジメに近いですよ。
「時短」のために温度を上げるという大きな勘違い
「忙しい朝に何度も通すのが面倒だから、一気に高温でキメたい」という気持ちは分かります。でも、それが最大の罠。高温で一度通すダメージと、適正温度で二度通すダメージ。圧倒的に髪を殺すのは前者です。高温すぎると、髪の水分が一瞬で爆発します。アイロンを当てた時に「ジュッ!」という音がしたことはありませんか?あれ、髪の中の水分が水蒸気爆発を起こしている音ですからね。そんなことを毎日続けていたら、髪がミイラみたいにパサパサになるのは当たり前なんです。
美容師が本気で推奨する「真実の適正温度」とは
じゃあ、一体何度にすればいいのさ!と怒られそうなので、結論を言います。僕がお客様に強く推奨しているのは「140度から160度」の間です。これ以上は、プロが特別な技術で使うならまだしも、セルフスタイリングではリスクが大きすぎます。
「140度じゃ全然伸びない!」という声が聞こえてきそうですが、それは使い方が間違っているだけかもしれません。温度を上げる前に、髪をしっかり乾かしていますか?ブラッシングで毛流れを整えていますか?一度に挟む毛束の量が多すぎませんか?これらの基本をすっ飛ばして、温度だけで解決しようとするから髪が死ぬんです。
適切なスルーの速度が「ツヤ」を生む
アイロンは「当てる時間」も重要です。140度であっても、同じ場所に数秒間ずっと押し当てていたら、それはそれで焦げます。ゆっくり、一定の速度で滑らせる「スルー」が基本。プロの僕たちは、髪の毛の熱の入り方を指先で感じながら一瞬で判断していますが、ご自宅でやるなら「1、2、3」と心の中で数えながら、止まらずに滑らせる。これが、髪を焼かずにスタイルを作る秘訣です。
道具のせいにする前に見直すべきポイント
最近は数万円もする高級なヘアアイロンが人気ですよね。「これを使えば髪が傷まない」という魔法の言葉を信じている人も多いですが、ハッキリ言います。どんなに高級なアイロンでも、180度や200度で使えば髪は確実に傷みます。高い包丁を使えば料理が上手くなるわけじゃないのと同じで、道具を使う「あなた自身」の意識が変わらない限り、美髪は手に入りません。
まず、今使っているアイロンの温度設定ボタンを、今日から「150度」に固定してください。そして、アイロンを通す前に必ず「熱から守るオイルやミルク」をつけてください。これだけで、数ヶ月後のあなたの髪の質感は見違えるはずです。髪は死滅細胞。一度壊れたら、自力で治ることはありません。いかに今の状態を守りながら綺麗に見せるか、それが大人世代のヘアケアの全てなんです。
美容師が本当に見たいのは、あなたの「5年後の美髪」です
厳しいことを散々言いましたが、それもこれも、あなたがいつまでも綺麗な髪でいてほしいからこそ。僕は美容室で数時間かけて髪を綺麗にしますが、残りの364日はあなたが自分の髪を守る番なんです。アイロンの温度を下げる。たったそれだけのことが、高級な美容液を一本買うよりも、あなたの髪を救うことに繋がります。
180度のアイロンで毎日髪を焼くのは、今日で終わりにしましょう。自分の髪を、もっといたわってあげてください。少し時間はかかるかもしれませんが、低い温度で優しく仕上げた髪は、触り心地も柔らかく、不自然なピンピン感もありません。大人の女性・男性に似合うのは、そんなしなやかで上品な質感の髪だと、僕は確信しています。
もし、自分の髪に合ったアイロンの通し方や、適切な温度がどうしても分からない……という悩みがあれば、担当の美容師さんに相談するのが一番ですよ。彼らはあなたの髪の履歴もダメージ具合も一番よく分かっていますから、きっとあなただけの正解を教えてくれるはずです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。読者のみなさまの毎日が、少しでも美しい髪で輝くことを願っています。これからも、プロとしての本音を発信していきますので、よろしくお願いします!

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